本編13|完成度と、いちばん好きは違う。
更新日:2 日前
ユナ「ネタの完成度だけなら、サンドウィッチマンと並ぶ、あるいは超えるコンビっている?」
カイ「ネタだけの完成度なら、間違いなくミルクボーイ」
迷いのない答えだった。
サンドウィッチマンの「共感力と圧倒的なネタ構成」について話していたカイが、今度はミルクボーイの名前を挙げた。
ここでユナが面白がったのは、「ネタだけの完成度なら」という言い方だ。
面白い芸人を一組だけ選ぶ、という話ではない。
何を基準にするかで答えが変わる。

ミルクボーイの「コーンフレーク」を考えてみる。
同じ型が何度も戻ってくる。
普通なら、先の展開が分かれば笑いは弱くなりそうだ。
ところが、あのネタはむしろ逆。
観客が型を覚えた頃から、次にどう転ぶのかを待ち始める。
説明を聞いて、「ああ、それならそうかも」と思う。

ところが次の説明で、またひっくり返される。
繰り返しているのに、同じ場所に戻ってきた感じがしない。
ユナが注目したのは、その反復の設計だった。
観客の頭の中に、次に来る言葉への予測が生まれる。そこに微妙なズレが起きる。
しかも全体のルールは壊れない。
「意外性」と「分かりやすさ」が、同じ仕組みの中に居座っている。

理屈で並べるとずいぶん堅苦しい。
けれど実際には、その理屈を考える暇もなく笑ってしまう。
そこが芸の恐ろしいところだ。
ただ、カイの答えには続きがある。
ネタの完成度ならミルクボーイ。
それとは別に、特に好きなネタとして出てきたのは、チュートリアルやブラックマヨネーズだった。

ますだおかだの名前も挙がる。
ユナはそこが気になった。
緻密に組み立てられたネタへの敬意と、何度でも見たくなるネタへの愛着。
必ずしも同じコンビに向かないのだ。
カイは「よくできているもの」と「自分の心をつかむもの」を、無理に一つの順位へ押し込めようとしない。
それは、芸をちゃんと見ているからかもしれない。

じゃあ、その「好き」は、何が違うのだろう。
チュートリアル。
ブラックマヨネーズ。
ますだおかだ。
それぞれの名前を並べたところで、ユナの分析癖がまた動き出す。

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