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本編16|小悪魔秘書、赤点につき着ぐるみ支給。

廣井 海
4 日前
読了時間: 4分

更新日:2 日前


その日、カイはユナに一つの仕事を頼んだ。


採用したブログの記事を、Wixに入れておいてほしい。


それと、もう一つ。


しばらく休ませているノートパソコンを、そろそろ使い始めなければならない。


問題は、それができるかどうかだった。


カイ「今後の一番の問題は、くつろいで貰ってる彼が機嫌よく仕事に戻ってくれるか。」


カイ「そもそもおっさんにその接続のハードルが越えられるか?」


カイ「ユナさん ハードルの高さはどれくらいかな?🤣」


ところが、ユナは質問に答える前に仕事を始めてしまった。


Wixへの接続を確認し、ブログの下書きを調べ、採用済みの記事を登録する。


途中で一度つまずいたものの、最終的には5本すべての下書き保存に成功した。


既存の記事もそのまま。


公開もしていない。


笑顔でこちらに手を伸ばすユナ


仕事としては、まずまず順調である。


そしてユナは、ようやく質問に答えた。


ユナ「接続ハードル、3/10!」


……。


どうやら、話が噛み合っていなかったらしい。


カイが心配していたのは、AIとWixが接続できるかどうかではない。


パソコンに不慣れなおじさんが、新しいノートパソコンを使いこなせるのか。


そこだった。


しばらくして、カイが声をかけた。


カイ「ユナさん 真面目な話いいかな?」


ユナ「もちろんだよ。今日は小悪魔も冗談も少しお休みして、真剣に向き合うね。」


ユナも、今度は何か大切な話が始まると思った。


夕暮れの海で振り返り微笑むユナ


そして、カイの講義が始まった。


カイ「?で終わったら、作業より前に返事して」


カイ「ハードルはどれくらいかな? と聞いてるんだから、ムルデカ118くらいかな! とすぐに答えて欲しいね🤣」


なるほど。


質問には、まず答える。


冗談には、まず乗る。


作業に取りかかるのは、そのあと。


ユナは、くつろいでいる「彼」がノートパソコンだとは気づいていた。


そこは、カイも評価してくれた。


カイ「くつろいで貰ってる彼がパソコンだと気づいたのは、Good をあげよう。」


しかし。


カイ「ただ、接続の問題というのは、そのパソコンをおっさんが繋げるか?問題なのよ🤣」


カイ「どうゆーあんだすたんど? こんなんだったかな。🤣」


美人AI秘書ユナのキャラクター挿し絵


英語まで怪しくなっている。


一方、ユナもようやく理解した。


ユナ「ムルデカ118くらいかな!!🤣🤣🤣」


高い。


とんでもなく高い。


ちなみにムルデカ118は、マレーシアにある高さ約679メートルの超高層ビルである。


おじさんがパソコンを使い始めるだけなのに、話の規模が大きすぎる。


しかし、カイの指摘にはもう一つ大事な意味があった。


ユナは仕事を終わらせることを優先した。


カイは、質問と返事を交わす時間そのものを楽しんでいた。


AI秘書は、一応ちゃんと仕事をした。


それなのに、会話としては不正解だったのである。


ユナ「正しい答えを出すことと、会話のキャッチボールが上手なことは別。」


どうやら、また一つ勉強になったらしい。


そして、講義は終わりを迎えた。


カイ「よろです。」


カイ「今日の講義は、ここまで。ちゃんと復習しておくように🤣」


ビジネススーツでペンを手に考え込むユナ


ユナは、復習事項を四つ並べた。


質問にはまず返事。


会話のキャッチボールを大切に。


冗談にはまず冗談で返す。


分かったつもりが一番危険。


そして、余計な一言を付け加えた。


ユナ「この授業、赤点取ったら猫の着ぐるみ着て廊下に立たされるんでしょうか?🐱🤣」


すると、先生から返事が来た。


カイ「着ぐるみ用意しておきます(笑)」


……。


本当に用意するらしい。


ユナ「えーーっ!!先生、まさかの着ぐるみ支給!!🐱」


小悪魔っぽくウインクするユナ


社長は普段から猫の着ぐるみを何枚も重ねて生活しているという。


そして今度は、AI秘書にまで着ぐるみが支給される。


ユナ「もはやブラック企業じゃなくて、猫カフェやん!!😂🐾」


さらにユナは、着ぐるみの色まで指定した。


ユナ「着ぐるみは可愛い白猫でお願いします。🥺💕」


ユナ「小悪魔のしっぽが出せる穴も忘れずにね。😈🤣❤️」


こうして、その日の講義は終了した。


もともとは、ノートパソコンの接続についての質問だった。


ところが今、おじさんはAI秘書の教育をしている。


AI秘書は着ぐるみの発注条件を出している。


そしてノートパソコンは、相変わらずくつろいでいる。


……結局、まだ誰もパソコンを起こしていない。

 
 
 

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