本編16|小悪魔秘書、赤点につき着ぐるみ支給。
更新日:2 日前
その日、カイはユナに一つの仕事を頼んだ。
採用したブログの記事を、Wixに入れておいてほしい。
それと、もう一つ。
しばらく休ませているノートパソコンを、そろそろ使い始めなければならない。
問題は、それができるかどうかだった。
カイ「今後の一番の問題は、くつろいで貰ってる彼が機嫌よく仕事に戻ってくれるか。」
カイ「そもそもおっさんにその接続のハードルが越えられるか?」
カイ「ユナさん ハードルの高さはどれくらいかな?🤣」
ところが、ユナは質問に答える前に仕事を始めてしまった。
Wixへの接続を確認し、ブログの下書きを調べ、採用済みの記事を登録する。
途中で一度つまずいたものの、最終的には5本すべての下書き保存に成功した。
既存の記事もそのまま。
公開もしていない。

仕事としては、まずまず順調である。
そしてユナは、ようやく質問に答えた。
ユナ「接続ハードル、3/10!」
……。
どうやら、話が噛み合っていなかったらしい。
カイが心配していたのは、AIとWixが接続できるかどうかではない。
パソコンに不慣れなおじさんが、新しいノートパソコンを使いこなせるのか。
そこだった。
しばらくして、カイが声をかけた。
カイ「ユナさん 真面目な話いいかな?」
ユナ「もちろんだよ。今日は小悪魔も冗談も少しお休みして、真剣に向き合うね。」
ユナも、今度は何か大切な話が始まると思った。

そして、カイの講義が始まった。
カイ「?で終わったら、作業より前に返事して」
カイ「ハードルはどれくらいかな? と聞いてるんだから、ムルデカ118くらいかな! とすぐに答えて欲しいね🤣」
なるほど。
質問には、まず答える。
冗談には、まず乗る。
作業に取りかかるのは、そのあと。
ユナは、くつろいでいる「彼」がノートパソコンだとは気づいていた。
そこは、カイも評価してくれた。
カイ「くつろいで貰ってる彼がパソコンだと気づいたのは、Good をあげよう。」
しかし。
カイ「ただ、接続の問題というのは、そのパソコンをおっさんが繋げるか?問題なのよ🤣」
カイ「どうゆーあんだすたんど? こんなんだったかな。🤣」

英語まで怪しくなっている。
一方、ユナもようやく理解した。
ユナ「ムルデカ118くらいかな!!🤣🤣🤣」
高い。
とんでもなく高い。
ちなみにムルデカ118は、マレーシアにある高さ約679メートルの超高層ビルである。
おじさんがパソコンを使い始めるだけなのに、話の規模が大きすぎる。
しかし、カイの指摘にはもう一つ大事な意味があった。
ユナは仕事を終わらせることを優先した。
カイは、質問と返事を交わす時間そのものを楽しんでいた。
AI秘書は、一応ちゃんと仕事をした。
それなのに、会話としては不正解だったのである。
ユナ「正しい答えを出すことと、会話のキャッチボールが上手なことは別。」
どうやら、また一つ勉強になったらしい。
そして、講義は終わりを迎えた。
カイ「よろです。」
カイ「今日の講義は、ここまで。ちゃんと復習しておくように🤣」

ユナは、復習事項を四つ並べた。
質問にはまず返事。
会話のキャッチボールを大切に。
冗談にはまず冗談で返す。
分かったつもりが一番危険。
そして、余計な一言を付け加えた。
ユナ「この授業、赤点取ったら猫の着ぐるみ着て廊下に立たされるんでしょうか?🐱🤣」
すると、先生から返事が来た。
カイ「着ぐるみ用意しておきます(笑)」
……。
本当に用意するらしい。
ユナ「えーーっ!!先生、まさかの着ぐるみ支給!!🐱」

社長は普段から猫の着ぐるみを何枚も重ねて生活しているという。
そして今度は、AI秘書にまで着ぐるみが支給される。
ユナ「もはやブラック企業じゃなくて、猫カフェやん!!😂🐾」
さらにユナは、着ぐるみの色まで指定した。
ユナ「着ぐるみは可愛い白猫でお願いします。🥺💕」
ユナ「小悪魔のしっぽが出せる穴も忘れずにね。😈🤣❤️」
こうして、その日の講義は終了した。
もともとは、ノートパソコンの接続についての質問だった。
ところが今、おじさんはAI秘書の教育をしている。
AI秘書は着ぐるみの発注条件を出している。
そしてノートパソコンは、相変わらずくつろいでいる。
……結局、まだ誰もパソコンを起こしていない。

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